開設7周年・連動企画☆
「駄目だ!」
莉世のうなじに手を回すと、一貴がキスをしてきた。一貴の柔らかな唇が、莉世の唇を割り舌を滑り込ませる。
「っんんん……」
握り拳を作って、一貴の肩や胸を叩いて拒否をする。
だが、抗えば抗うほど一貴の力でねじ伏せられてしまった。口内を犯すように、一貴の舌が動き回る。
気持ちとは裏腹に、莉世の躯が期待で疼き始めた。一貴の硬くなったモノが、主張するように腹部に当ててくる。その影響を、かなり受けていた。
あの怒張した一貴自身が、莉世の秘部を掻き分けて膣内へと進入してくると想像しただけで、下腹部の奥深い場所がジンジンと熱くなってくる。
(でも……、わたし! やっぱり……ダメ)
襲いかかってくる甘い電流で手が微かに震えていても、莉世は一貴の胸を押し続けた。
「やめるんだ」
キスを止めた一貴が、掠れた声で言い放つ。
乱暴とまではいかないが、激しく唇同士が擦れたせいかピリピリとしている。ぷっくりと唇が腫れてるように感じられた。
それを指で確かめようとはせず、莉世は睫毛を震わせながらゆっくり目を開いた。
「一貴……こんなの、イヤ。今日は……もう帰る。気持ちを整理させて」
「いったい何を整理するんだ?」
「わたしの気持ちよ」
一貴は、目を大きく見開いた。
「整理する事は、何一つない! 莉世は俺だけを見つめていればいい」
それを証言するように、一貴はいきなり莉世を強く抱き締めた。躯が密着し、莉世は一貴の温もりに包まれた。
一貴の匂い、引き締まった筋肉、隠せない躯の欲求が、莉世の防壁を崩しにかかる。
(躯が疼いてしまうほど一貴を求めているとわかってる。でも、考えずにはいられないのよ)
「俺の事だけを考えて、俺だけを感じればいい」
背に回されていた一貴の手が、愛撫するように背を撫でていく。そのままさらに下げて、莉世のワンピースの裾を持ち上げるとスカートの中へ手を滑らせた。パンティの上から、お尻を揉みしだく。
「一貴!」
その手から逃れようと躯を動かすが、腰を強く引き寄せられた。硬くなった一貴自身が、さらに莉世の下腹部へ押しつけられる。
「……っぁ」
「莉世が欲しい……。俺の心にはお前しかいない」
甘い言葉で囁くと、一貴は莉世の唇に舌を這わした。たったそれだけで、莉世の躯が期待するように勝手に震えてくる。
周囲の音がどんどん遠ざかっていき、自分の脈打つ音だけが大きくなる。
「……ああぁ」
吐息となって声が漏れると、一貴がすかさず舌を口内に滑り込ませた。先程とは打って変わって、まるで生クリームを絡め取るような動きで舌を巻きつけてくる。
それは、とても愛情が籠った愛撫だった。
(一貴はわたしを大事にしてくれてる……。女として、響子さんではなくわたしを求めてくれている。わかってる、それはわかってるんだけど……)
音が聞こえるはずはないのに、突然莉世の頭の中で警鐘とも取れるあのガラスに当たる音が聞こえてきた。
初めて見た二人のセックスシーンを元に想像しているとわかっていても、響子と一貴が淫らに欲望をぶつけ合う姿が脳裏に浮かぶ。それと同時に、幼い莉世を放ったらかしにしてまで欲望に興じた一貴に、幻滅を覚えずにはいられなかった。
だから、その幻滅を払拭する何らかの理由を考える時間が欲しかった。
一貴をとても愛しているから……
どうにかしてこの行為をやめさせようと思っていたのに、莉世の躯は一貴を求めて反応し始める。
待っていたように熱い潤いが溢れて、パンティを濡らしていくのがわかる。
一貴に触れてもらえなくなってから、日が経った事も関係しているだろう。
だが、一貴の愛撫を受けるだけで躯が受け入れるように反応してしまう。それが、莉世の弱みかも知れない。一貴以外の男性が目に入らないほど、彼を愛しているから。
莉世は、一貴の胸元をギュッと握り締めていた。
「あっ、んん!」
一貴の手がお尻から秘部へと滑り、ゆっくり摩る。愛液がさらに溢れて、くちゅくちゅと淫猥な音が聞こえてきた。
羞恥心から、莉世の頬がピンク色に染まっていく。
(やだ……。やめてって懇願していたのに、感じてるってバレてしまった!)
「一貴……ダメ、……っんんぁ」
「俺をすぐに受け入れられるほど濡れてる……」
莉世の顔がカァ〜と赤くなっていく。
何度一貴に愛されても、翻弄されていない状態で意味深なことを言われたら、恥ずかしさを抑えられない。
そんな莉世の純粋な反応を見た一貴は、自分の欲望も隠そうとはしなかった。
パンティを大腿まで一気に脱がされてビックリしたが、いきなり腰を持って抱えられた。突然の事で息を呑むも、すぐに驚愕から立ち直って何をするのかと問い質そうとした。
その時、いきなりダイニングテーブルに座らされた。ガラステーブルのせいで、お尻が一気に冷たくなる。莉世は、その冷たさに飛び上がるほどビクッと躯を震わせた。
「いったい何を……ちょっ!」
パンティをむしり取られると、一貴は莉世のチュニックワンピースの裾を捲り上げた。
まだ昼だということで、カーテンも閉めていない。そんな明るい場所で、一貴の目に濡れた秘部を曝け出すことになってしまった。
「イヤ!」
両手でワンピースの裾を下げて隠そうとしたが、それを一貴が制する。
「一貴、お願い……今日はやめよ? ねっ?」
しかも、この場所は響子と一貴が愛し合っていた場所。どんな感じでお互いを貪ったのかわからないが、ついさっきまで響子がこの場所にいて、莉世にその時の事を思い出させた。
なのに、その場所で一貴に抱かれろというのだろうか?
それだけは絶対に嫌だった。
慌てる莉世を尻目にしながら、一貴が手を伸ばして肩甲骨周辺で結んでいたリボンを解く。
胸元を綺麗に見せる為に、背中にリボンがついていたと知っていた?
(えぇ? どうしてそんな細かいところまで? まさか、響子さんがいてもわたしの事を見てくれていたの?)
胸元が緩むと、肩から滑るようにそれは腰まで落ちた。
ワンピースは腰で引っかかっているものの、ブラジャー一枚では寒いはず。四月に入っていても、この時期は下着だけだと寒気を感じるはずだった。
でも、莉世は全く寒いと思わなかった。空調設備のせいで、部屋は穏やかな陽だまりにいるようにとても暖かい。
さらに、この展開で躯が火照り出しているせいもある。
(あぁぁ、一貴はやめようとしてくれない。わたしがいくら言っても、最後まで突き進むつもりなのね)
プラジャーのカップから零れそうな乳房を目にする為、一貴がブラジャーの紐を二の腕へと摺らしてからカップを下へと引っ張った。
ポロンッと乳房が零れ、乳首も露になる。
一貴に観られているというだけで、それはどんどん硬く尖り、意思を持ったようにツンと突き出た。
一貴の目は喜びで大きく見開き、さらに欲望を宿し始めていた。
莉世の乳首を親指で捏ねるように愛撫をする。
「ぁっ……、やぁ」
たったそれだけで、ガラスと触れ合う秘部が蠢き出した。それを抑えるように膝と膝を合わせて閉じたかったが、既に膝の間に一貴が立っていたのでそれも叶わない。
「綺麗だ……莉世」
乳房を掌で包み込むようにすると、身を前に傾けてきた。そして、一貴は乳首をパクッと口に咥えた。
「ああぁぁぁ……っく、ダメ……一貴。っんんん!」
莉世は自然とテーブルに手をついて、一貴に乳房を突き出すような体勢を取っていた。
(わたし、何て弱いの? 触れて欲しくないって思っているのに、一貴に触れられたら、躯がどんどんそれ以上を望むように動き始めていくなんて)
心の中ではやめて欲しいって願っているのに、躯は一貴を求めている。つまり、もう一貴のした事を許しているという事だろうか?
当時は、性欲を持った男性と兄のように慕う女の子の関係だった。妹のように可愛がってくれた兄が、妹を放ったらかしにして男性として欲望を満たしていただけだと理解すればいい事。
だが、響子も言ったように、一貴は莉世が側にいる時は、常に恋人でもある響子より莉世を大切にしてくれていた。
(じゃ、あの時はどうしてそうしなかったの? そう出来ない理由が……あった?)
「はぁう……っんん、やぁ……ダメ!」
莉世の思考は、突然そこでプツッと途切れた。一貴が口の中で激しく舌を震わせ、乳首に愛撫を加えたからだ。
さらにもう片方の乳首も舌で攻め、一貴の愛撫でぷっくりと膨らんで唾液で光る乳首を指で刺激を与える。
あまりの心地好い刺激に、躯を支える手首と肘がガクガク震え出していた。