クライマックスに達してからどれぐらい経っただろうか?
莉世は気怠い感覚の波に漂いながら、ベッドに横たわっていた。
途中、一貴が莉世を抱きしめたが、されるがままお互いの素肌に触れ合った。その間にガーターが取り払われたが、全く気付く事なく一貴の体温を求めて擦り寄った。
眠ってしまいそう……
そう思った時、一貴が莉世を腕に抱いた。
莉世は自然と一貴の首に両手を回し、安心して身を委ねた。
「っぁぁぁぁ……」
思わず、満ち足りた吐息を口から漏れた。
「気持ちいいか?」
「うん」
莉世は、一貴に抱かれながらジャグジーの泡風呂に浸かっていたのだ。
「こんな、贅沢……していいのかな?」
両手で泡を掬い、フゥ〜と息を吹き掛けて飛ばす。
「特別な日だからな」
うん、本当に特別な日になった。
特別過ぎて……絶対忘れられない思い出になったよ。
莉世は、窓一面から見える夜景に視線を向けた。
まるで宝石箱だ。
その光景に引き寄せられるように一貴から離れると、窓へ近づいた。
「綺麗……」
「……あぁ、綺麗だ」
莉世は、ロマンティックな光の共演に見とれた。
忘れない、絶対に今日という日を忘れないから。
「そろそろ、こっちにおいで」
「えっ?」
莉世は、パッと振り返った。
瞬間、ドキンと胸が高鳴った。
一貴は、既に瞳の中で踊る炎を隠そうともしない。
「か、ず……き?」
一貴は視線を徐々に上げると、莉世の見開かれた瞳を見つめ返した。
「お前の躰を覆っていた泡が、その張りのある肌を滑り落ちるとどうなるか、わかっているのか? お前の艶めかしい裸身が俺の目に焼きつきて、目が離せなくなっているんだぞ?」
「えっ!」
パッと自分の裸身を見ると、莉世は慌てて湯に浸かった。
お尻の半分から下は泡で隠れていたけど、それより上は……光を浴びて艶やかに光っていたのだ。
一貴は莉世の側へ来ると、しっかりと腰を抱き寄せた。
「今夜は、ずっと俺のものだからな」
一貴の腕の中で、莉世の心臓がドキドキと激しく打ち始めた。
「……ずっと?」
「あぁ、ずっとだ。寝かさないから、覚悟しとおけよ」
ね、寝かせてくれないの?
喉の奥の筋肉が、ピクピクと痙攣を起こしたように痛くなった。
バカッ! 期待し過ぎだって! ……さっきみたいな快感を、何度も何度も与えられたら壊れるに決まってるでしょ。
……うん、壊れるに決まってる。そうわかっているのに、一貴に触れられたい。触れて欲しい、愛して欲しいって思ってしまう。
……わたし、本当にえっちになってしまったみたい。
莉世は恥ずかしいと思いながら、クルッと躰を回転させて、一貴と対面になった。
「一貴も……感じてくれた?」
わたしだけが感じ過ぎ? 一貴は、わたしとえっちして気持ち良かった?
いろんな思いを抱きながら、莉世は一貴の頬から顎へと指を這わした。
一貴の喉仏が、上下に動く。
「俺が感じていないとでも思ったか? ……莉世に触れるだけで俺の心臓は荒れ狂うし、お前の温かな壁に包まれるだけど、イきそうになる」
莉世は、嬉しくなって俯きながら微笑んだ。
「良かった……、わたしばっかりいつも翻弄されてるから。いつもいつも……他の事を考えられないくらい、一貴の事でいっぱいになるから……だから」
莉世は、一貴に頬を両手で挟まれるとそのまま顔を上げた。
「今まで以上に自制心をなくせば……俺は莉世を壊してしまうぞ? 教務棟で失神した時みたいにな」
壊してしまう……失神……
莉世は、躰がカァ〜と熱くなるのがわかった。
そんな莉世をそのまま引き寄せると、一貴は莉世にキスをした。
そのまま一貴の手は、莉世の肌を滑るように走らせる。
首から脇・腕へと撫でると、乳房を両手で包み込み、ゆっくり揉みしだく。
円を描くように丹念に乳首に触れられると、思わずビクッと躰が奮え呻き声が漏れた。
一貴は、ココでどうしようというの? わたしにまた火をつけようというの? あの時……京都での露天風呂みたいに?
キスから解放されると、莉世は甘い吐息を漏らしながら、一貴の肩に両手を置いた。
それでも一貴は、莉世の背中からお尻へと手を這わしていく。
「何、してるの?」
情熱に潤んでとろんとした瞳を向けた。
「綺麗に洗ってるんだ。俺の舌や唇が触れたところ全てな。ココも、ココも……」
一貴の指が優しく、それでいて愛撫の如く、まだ敏感に膨らんだ蕾周辺をまさぐる。
莉世は大きく息を吸いこんで、呻き声を噛み殺した。
一貴は莉世の状態などお構いなしに、どんどん指を進めた。
そこも、あそこも……一貴が口でしたんだ。
一貴にされた行為と、まだ躰が覚えてる快感に、莉世は翻弄されそうになった。
我知らず、クライマックスへの道へ辿ろうとしていた時、一貴の手が大腿へと移った。
不満の声が、莉世の口から漏れた。
その声に、一貴はニヤリと口角を上げた。
「勝手にイクのは許さない、もうちょっと待て。……立って」
莉世は、一貴に腰を両手で掴まれると立たされた。
秘部は水面すれすれで隠れているが、茂みは露になってる。
一貴の視線がそこへいくというだけで、莉世は躰が熱くなり、乳首が期待に疼くのがわかった。
そんな莉世の気持ちを知ってか知らずか……膝の裏へと手を滑らす。
「っんん!」
ふらつく足を踏ん張って、莉世は手の甲で声を塞いだ。
やだ……揺れる水面がちょうど敏感なところに当って、変な気分になる。
どうしよう、足に力が入らない!
ガクガク膝が揺れたから、一貴は手の動きを止めた。
「ほら、ここに座って」
莉世は、言われるまま縁に腰をかけた。
「次は、指」
莉世の片足を上げると、指一本一本丁寧に擦っていく。
後ろに倒れそうになり、莉世は後ろに両手をついて踏ん張った。
歯を食いしばって堪えようとしたが、お尻から背筋にかけて走る甘い痺れのせいで、躰がビクンと跳ねる。
一貴は洗ってくれてるって言ってたけど、これは拷問に等しいよ。とてつもなく高い場所へと導く愛の拷問に。
「すごい感じ方だな」
「えっ?」
いつの間にか両足を開かれ、その間に一貴が立っていた。
一貴の視線は、莉世の秘部に吸いつけられてる。
「痙攣起こしたように襞が蠢き、早く咥えたいというように、俺を誘ってる……」
莉世は、一貴の状態に気付きハッと息を飲んだ。
一貴自身が頭を擡げて、勢いよくそそり勃っていたのだ。
しかも、大きく力強く漲り……まるで生き物のように息づいてる!
「明るいところで見たい」
そう言うと、一貴は腿を持つと大きく開かせた。
莉世は、この恥ずかしい姿に荒い呼吸を繰り返しながらも、一貴の目が輝くように光るその瞬間に見惚れてしまった。
こんな姿なのに、一貴は全然気にしないんだ。わたしの方が恥ずかしくて……心臓バクバクさせてるのに、一貴はわたしの大切な場所を食入るように見つめてる。
ゆっくり一貴の唇が開くと、莉世は徐に足の指をギュッと丸めた。
「ココ」
一貴の指が、莉世から見て大切な部分の右側近くを撫でた。
「っふぁ……っ!」
突然、考えもしなかった鋭い快感が遅いかかった。
莉世は、思い切り乳房を突き出すように、ビクッと跳ねながらのけ反った。
「こんな所にホクロが3つ並んである。まるで、痕を残す為だけにつけられた歯形のようだ」
ホクロ? 3つ? ……何?
莉世は、両手がプルプル震えてきたのを感じたが、しっかり突っ張った。
「……コレを知ってるのは、俺だけだよな?」
チラッと視線を上げて、欲望に翻弄されてとろんと潤んだ莉世の瞳に問いかけた。
「他の、誰も、知らないな?」
何故そんな事を訊くのかわからないまま、莉世は頷いた。
「一貴にしか、見せた事ないもの」
その答えに満足したのか、一貴は秘部に顔を近づけた。
そして、さきほど強烈な快感を送ったそのホクロがあるという場所を、舌で撫でた。
再びビクッと強烈な快感が、莉世を襲う。
な、何、これ? 何で、こんなにも感じるの? 確かに、一貴からいろんな快感のツボを教えられたけど、これは違う。何か……根底から揺さぶられるような、そんな感じがしてならない。
一貴がその場所を吸い、そして歯で軽く噛んだ。
「きゃぁぁぁぁぁんっ!」
とてつもない大きな波が、渦を巻くように莉世に襲いかかった。
突然起こった上空へと押し上げるクライマックスはとても激しく、莉世は躰を硬直させては痙攣を起こしたように、その快感を躰全体で受け止めた。
莉世はゆっくり暗闇に引きずられて、そのまま失神してしまった。