衛生的に汚い行為だと思ってた。
そんな場所を口と舌で触れるなんて、到底考えられない行為だと思ってた。
だからこそ、何故他のカップルたちが……こういう行為を進んでするのか、雑誌を見ながらずっと不思議に思ってた。
それもあって、わたしはこの行為に躊躇いを感じていた。
でも……それらはわたしの勝手な思い込みで、全て間違いだったと今ならわかる。
もちろん不潔な感じがするし、そこまでして快感を与えるような愛撫をしなくてもいいとは思ってた。でも、そうじゃない。
これは、これは……まさしく愛し合うカップルにしか……出来ない行為。
だからこそ、全てを捧げ合うのだ。
まさしく、こうやって……
莉世は、まるでエンドレスミュージックを聴いてるような感覚に陥りながら、何度もすすり泣きを漏らした。
躰が敏感に感じてるのに、果てしなくその快感が続くからだ。
果てる事もなく……ましてやゆっくり息をつく時間もない。
まさにノンストップだった。
一貴は、莉世のパンティをいつの間にか脱がせており、今は保護のないまま攻めていた。
蠢く唇と舌に翻弄され、莉世は躰を何度も奮わせた。
まるで、筋肉が悲鳴をあげてるかのように。
早く、早く……どうにかして。どうしたら、イけるの? どうすれば、この痛いほど張り詰めた快感から飛翔出来る? あぁぁ、早くわたしを解放して!
「……っぁはぁぁふっ!」
一貴が、秘部に指を挿入した。
ただ、挿入しただけではない。ゆっくり掻き回すように、締めつける秘部を探る。
「シーツが、こんなに濡れるほど感じるとは」
莉世の胸は、一貴の言葉に呼応するように激しく上下に動いた。
「やめ、……いや」
「恥ずかしい事じゃない。莉世が俺を受入れてるからだ。俺のする行為全てを信頼し、ココロと躰で感じてるから溢れるほど濡れるんだ」
その言葉で、莉世のココロがふわぁと軽くなった。
快感は途切れない、躰の奮えは止まらない……でも一貴の愛撫を受けながら、ココロの奥深いところで一息つく事が出来た。
そんな状態の莉世に、一貴は充血してぷっくりと膨らんだ蕾を舌で触れた。
「っんんぁっ!」
ビクッと躰が跳ね上がった。
だが、一貴がしっかり腰を押さえつけていた為、莉世は逃れる事が出来なかった。
そんな莉世を見ても、一貴は愛撫の手を止めなかった。
「おねが、い……もぅ、許して」
目尻から熱い涙が零れ、シーツを濡らした。
莉世が許しを乞うたからか、一貴は指を抜くと躰をゆっくり起こした。
満たされぬままの状態だった為、感覚はまだ十分に研ぎ澄まされている。
少しでも触れられたら再び大きく燃え上がるように、火はまだ燃え続けていた。
ベッドが揺れると同時に、熱くて柔らかな感触が目尻に触れた。
一貴が唇で涙の筋に触れたのだった。
「こんなもので降参するとは……お前は、もっともっと俺に馴れなければ」
潤んだ瞳で目の前にいる一貴を見返すと、彼はそのままゆっくりキスをした。
いつもと違うキスの味がした。
一貴の唇は濡れていて少しヌルッとしている。でも、それを全く嫌がる素振りも見せないで、わたしを求めてくる。
「っふぁ…っぅんん」
キスをしながら乳房を包み込んで優しく揉みしだくが、薄い布きれが邪魔になったのか、素早くブラを取り去った。
ツンと硬く尖った乳首を、指で撫でては転がす。
莉世はシーツから手を離して、一貴の背に腕を回して引き寄せると、素肌の鎖骨にキスをした。
「一貴、お願い……もう、シて」
塩辛い……汗の味だ。
と、遠いところで思いながら、莉世は一貴の素肌に手を這わせた。
押し潰された乳房から、一貴の高鳴る心臓の音が響いてくる。
下腹部には硬くなった一貴自身が、グイグイ突いてる。
一貴は上半身を起こすと、莉世の秘部に指を這わせて挿入した。
熱く潤った秘部はそれを待っていたかのように、力強く何度も何度も締めつける。
「……これじゃ、保たずにすぐイってしまうな。一度イクか?」
莉世は、激しく頭を振った。
「イヤ……一貴と一緒がいい」
一貴の肩から両手が滑り落ちたが、莉世はそのまま縋るように一貴を見つめた。
一貴は興奮を隠せないまま激しく胸板を上下させていたが、何か深く考えながら莉世の盛り上がった乳房、引き締まった腹部、濡れた茂みへと視線を向けた。
たったそれだけで、莉世はまたも熱く濡れるのがわかった。
わかっているが、これは自分の意思では止められない。
「……莉世の頼みをきいてやるよ。だが、少し待つんだ、いいな?」
莉世は、一貴の頼みなら何でも従うつもりだった。
一貴は、莉世の足の間に身を落ち着けると、愛液で濡れた莉世の秘部を手で覆った。
莉世は喘ぎ声を漏らしながら身を捩ったが、一貴は気にせず秘部に触れては離すという動作を繰り返した。
「よし、これでいいだろう」
何がいいの?
一貴が何をしていたのか気付かないまま、莉世は覆い被さってきた彼の温もりに躰を奮わせた。
「俺の腰に足を掛けるんじゃない。絶対にだ。わかったな」
莉世は荒い息を繰り返しながら頷いた。
一貴は片手で躰を支えながら、莉世の乳房を包み込み、ゆっくり躰を落として上下に動かし始めた。
莉世は、ハッと息を飲んだ。
恥骨から腹部にかけて、何度も擦るように動かしたのだ。
「かず、」
一貴は、莉世の言葉を遮るように口を封じた。
「先に、イキ、たくは……ないんだ、ろ?」
一貴の荒い息遣いが、口元に吹きかかる。
莉世の唇から、震えるような吐息が零れた。
わかってない……一貴はわかってない。
確かに一貴は限界域に達するまで刺激を与えてるのかもしれないけど、こうやって乳房を揉みしだかれ……リズムよく一貴の双子があたると、我慢出来なくなる!
足の爪先まで力を入れて、甘美な誘惑から逃れようと必死に歯を食いしばっていた。
しかし、ずっと解放される事なく持続していた快感は、躰の中で暴走を起こそうとしていた。
「もう、ダメ……っん」
莉世は無意識に足をあげると、一貴の腰に絡めた。
「り、莉世?!」
一貴が鋭く息を吸い込んだと同時に、浮かせた下半身にぴったり重なるよう、一貴自身がいとも簡単に滑り込んできた。
「っはぁぁぁん、っぁ、っふぁ……っん!」
莉世の喘ぎが漏れると同時に、一貴も呻いた。
「我慢、しろと……言ったのにっ」
だが、滑りやすくなった膣内(なか)に一度捕えられると、一貴は自制が利かないという風に激しく律動を始めた。
熱い一貴自身が擦る度、莉世は何度もすすり泣きを漏らしては、頭を振った。
「すごい、滑りと……締め、」
一貴が莉世の腰をもっと引き寄せると、奥まで突いてきた。
あぁぁ、めちゃくちゃに、なりそう!
一貴は、角度を変えたりリズムを狂わせたり……さらには腰に捻りを加えては莉世を突き上げた。
莉世は、新たな波が押し寄せてくるのを感じた。
このまま……止めないで。このままわたしをイかせて! このまま、天高くまで押し上げて!
その思いが伝わったのか、一貴自身を滑らかに包む膣内(なか)が激しく収縮した。
「莉世!」
一層、一貴は突きを速めた。
溢れ出る愛液が一貴自身に絡み合い、激しくぶつかり合って擦れることで淫猥な音が部屋に響き渡った。
莉世は、絡めた足の爪先までギュッと力込めた。
「…っぁ、……っんぁ、イク………イちゃう!」
一貴の躰に抱きつきながら、躰を硬直させて、下半身を自ら擦りつけた。
ぷっくり膨らんだ蕾が刺激された途端、莉世は一気に天空へと押し上げられた。
「……ひゃあ、っあぁぁぁぁん!」
痙攣を起こしたように何度ものけ反っては、躰を奮わせた。
激しく収縮する膣内と襞に攻められると、一貴も荒い息をしながら後を追いかけるようにピストン運動で自分を攻め立てた。
途端 、喉の奥から吠えるような呻き声を漏らした。
一貴はビクッと躰を痙攣させるとのけ反り、そのまま硬直していたが、 ゆっくり息を吐き出すと莉世の上にドサッと倒れ込んできた。
莉世はまだ躰を奮わせて恍惚状態の域だったが、一貴より先に心地よい温かさに囲まれた、甘美なる余韻に漂い始めた。
心臓は狂ったように激しく上下し、躰には全く力が入らなかったが……莉世は見たこともない新たな世界へ一歩踏み出したと、身をもって経験したのだとわかった。
それは、一度踏み込んだら……二度と抜け出したくない世界だと言っていい。
もちろん、今までも最高に感じさせてくれていた。
あれ以上の快感を得られないだろう……とさえ思っていた。
だけど、それは間違いだった。
莉世は、耳にかかる一貴の動物のような息遣いを聞きながら、力が入らない腕をゆっくり上げて、愛おしそうにその躰を抱いた。
とても、とても素晴らしかった。あんなに、感じられるなんて……。あんなにも、快感が続くなんて。
一貴に愛される度、どんどんココロも肉体的にもえっちになっちゃう。恥ずかしいのに……際限なく、もっともっととせがんでしまう。
どうしよう……わたし、病みつきになってしまったのかも。
こんなわたしを嫌いになったりしないでね、一貴。
だって、こんなわたしにしたのは一貴なんだから……こんなにも感じさせる躰にしたのは……一貴なんだから。
莉世は、ココロの中で呟いてると思っていたが、いつしか想いは知らぬ間に口から零れていた 。
一貴は顔を伏せたまま……莉世の本音を偶然聞くと、まるで子供のように感情を露にして笑みを溢した。
「お前を、ココロごと愛してるよ」
莉世の耳に届くか届かないかの声量で、一貴はボソボソと囁いたのだった。