4万HIT記念企画♪
Summer vacation 1
ここが、従業員以外立ち入り禁止のロッカー室なんて事は、すっかり頭から抜け落ちていた。
ひたすら寛の激しいキスを受け、それに応えることしか頭にない。
乳房は寛の胸板に潰されて痛かったが、そんなのは関係ない。
背を上下に愛撫する寛の指、唇の中に入ってきた熱い舌を受け止めることだけに集中していた。
寛の項に指を這わし、こちらへ誘う。
もっと、もっと! と。
寛は舌を絡めながら、乳房を揉みだした。
それは優しく触れる……ようなものではない。激情に飲み込まれたような荒々しさが伺える。
乳房の芯が痛くて、もっと優しくしてと言いたかった。
でも、寛の内面が荒れ狂ってるのが理解出来るだけに、何も言えない。
乳首をギュッと摘ままれ、思わず声を漏らし、寛のキスから逃れて身を軽く引いた。
欲望に潤んだ彰子の目を見ながら、寛は縋るように顔を寄せた。
「俺が、その男の感触を消してやる」
声が擦れていた。
それが、寛の心情を表わしてる。
「……消して。あたしを寛でいっぱいにして」
そう言うと、寛は乳房に顔埋めた。
と同時に、その頭を両手で抱きしめ、寛が齎す快感に身を震わせた。
思わず身を逸らせると、寛はそのままベンチに押し倒した。
寛は執拗に舌を使い、快感のツボをどんどん押していく。
あぁ……今までの寛と違う! こんな風にあたしに感情をぶつけてくるなんて。手加減なしなんだけど、それがこんなに嬉しいなんて。
下腹部の奥がジワジワと潤ってくるのがわかった。
耐え切れなくなり、腰を動かす。
それを感じ取った寛は、手をどんどん下に持っていき、ビキニパンティの上から、そっと上下に撫でた。
「やぁ……っん」
躰がビクンと引き攣り、跳ねる。
「彰子、好きだよ」
囁くその声が、燃え盛る炎に酸素を送り込み、もっと激しく燃え上がった。
「あたしも……あたしも寛が、好き」
あぁ、寛と一つに溶け合いたい!
その願いが通じたのか、寛がパンティの端に手をかけた。
お願い、 そのまま一気に!
――― バンッ!
突然のその音に、彰子はハッとした。
「あぁ〜、疲れたぁ」
そして、響く男の声。
彰子は、ショックに目を見開いて寛を見た。
寛も、何が起きたかようやく気がつき、身を起して彰子を引っ張り上げる。
「早く、上をつけるんだ」
押し殺したような声で言われ、彰子は中途半端についてるトップを持ち上げるか、腕が震えてなかなか上手くいかない。
「くそっ」
寛は、自ら手を伸ばして彰子の首の後ろて止めた。
瞬間、
「うわっ! 人がいたのかよ! ……って、もしかして久木か?」
寛は、躰であたしを庇って隠してくれてるが、女がいるって事はすぐにわかる。
もしかしたら、何をしてたかもわかるかも知れない。
そう思うと、彰子は顔を真っ赤にした。
乳首はまだツンとしてるし、下は……ヌルヌルしてる。
あぁ〜、あたしったらこんな場所で寛と愛し合おうとしてたなんて、何てバカなんだろう。もし、寛があたしの膣内(なか)に入ってたら……。もし、その瞬間を見られでもしたら!
赤かった顔が、一瞬で青ざめた。
「どうもお疲れさまです。もうアガリですか?」
寛はどうしてそんなに落ち着いてられるんだろう? あたしは、こんなにも心臓がバクバクしてるのに。
寛の背に、何気なくに手を置いた。
すると、その激しい動悸に思わず驚愕した。
違う……落ち着いてなんかいない。寛は、冷静に装ってるだけなんだ。それは、あたしを守る為? ……うん、そうだよ。だって、あたしと同じように寛も動揺していたら、何をしていたか一目瞭然だもの!
寛は、あたしの為に……。
「アガリだけど……お前女連れ込むなよな」
呆れたように言うその人に、寛は軽く笑った。
「ここしかなかったんですよ。落ち着いて話しが出来るのはね。でも、もう外へ行こうって話してたんです。ちょうど良かった、すぐに出て行きますから、ゆっくり着替えて下さい」
寛は前を向いたままあたしの手を握り締めた。
立ち上がるまま、震える足に喝を入れ、寛に引っ張られるようにその場を後にした。
ドアを閉めた途端、あたしは思わずため息を吐き出した。
「もうあんな怖い思いは絶対イヤ」
縋り付きながら言うと、
「ははっ、俺だって嫌だよ。もしお前の温かさに包まれてたら……絶対途中で止めれなかったと思う」
楽しそうに笑いながら言う。
「だけど、止めて貰えて良かったかもな。さっきの俺は、嫉妬に狂ってたから、もう少しで彰子を傷つけてたかも知れない」
嫉妬? やっぱり嫉妬を感じてくれたの? それって、あたしを大事に思ってくれてるから?
「それでも良かった。寛に求められるんなら、あたし、」
切実にそう思ったからこそ、真剣に寛を見つめて言ったが、寛は指であたしの唇を塞いだ。
「そんな事を言うもんじゃない。俺は、お前を傷つけたくはないんだ。……俺はお前を守ってやりたいんだよ」
そんな言葉を使うなんて、卑怯だ。 ……あたしは、寛だからって思ったのに。
「哀しそうな目をするなよ。俺はお前を愛してるから大切にしたい、それだけなんだから」
指をそっと下ろすと、真剣な目から再び無邪気さを取り戻し、また笑い出した。
「だけど、お前も大胆になってきたよな。……俺のお陰?」
「ちがっ、もう、バカ!」
彰子は、顔を真っ赤にして寛の脇腹を小突いた。
でも、寛が言う言葉は当ってる。
寛は、どんどんあたしを違う女に……していく。あたしは、こんなに性に対して積極的じゃなかったのに……。
「今日は、早退させてもらって、一緒に帰るよ。お前を一人で帰すのは、俺にはムリ」
それって……あたしがレイプされそうになったから?
「さぁ、行こう」
「うん……ごめんねムリさせちゃって」
寛は、彰子の肩を抱いた。
「謝って欲しくない。こういう時は素直に言えばいいんだ……ありがとうってな」
やっと彰子の口角が上がり、微笑みが生まれた。
「……ありがとう、寛」
二人は、共に寄り添いながら、歩き出した。
――― 二人の夏休みは、まだ始まったばかりである。