※ 前作『ココロの鎖、鍵を求めて』の続編
らぶらぶえっち・あまあまストーリーに突入!
莉世は、京都の趣のある建物を見ながら……隣には愛する人を伴って歩きながら、幸せな気持ちでいっぱいだった。
しかし、旅館を出てからの一貴は……楽しそうにするどころか、だんだん表情を曇らせていく。
その変化を、莉世は敏感に感じ取っていた。
京懐石料理を見て、莉世は目を大きく開けた。
京都で採れる野菜が料理され、その美味しさに莉世は微笑んだ。
初めて食べるけど、こんなに美味しいなんて! ……ううん、料理だけが美味しいんじゃない。一貴と一緒に居られて……一緒にご飯を食べる事が出来たから。そして、何よりココロが軽くなったからだ。
一貴にも同じように思って欲しく、はしゃぐように話しかけるが、一貴はそっけない。
何がいけないんだろう? やっぱりわたしのせい?
「ねぇ、一貴」
「何だ」
「……わたしに言いたい事があったら、言って」
その真剣な声音が聞こえたからか、一貴はすぐに視線を上げた。
「何の事だ?」
心外だと言いたげな視線に、莉世は頭を捻った。
わたしの事で、何か言いたい事があるんじゃないの?
「……だって、旅館出てからここへ来るまで……一貴はどんどん不機嫌になってくるんだもの」
一貴は、改めて莉世の顔から浴衣姿まで隅々と見つめ……そしてため息をついた。
「違う。……気付かなかったのか? ここへ来る道中、何人もの男がお前の浴衣を剥ぎ取るような視線で見つめていたんだぞ? 確かに、俺はその柄を選んだ……お前に似合う事もすぐにわかった。俺の目を楽しませてくれる事もわかっていた。だが、他の男の目も楽しませる事になろうとは……まぁ思っていなかったってわけだ」
って、いう事は……それって嫉妬?
でも、そんなのする必要なんてないのに!
一貴は莉世の表情を読み取り、目を細める。
「莉世……、お前に関してだけ……俺はかなり異常だってわかってる。自分自身でも呆れ返ってるぐらいだ。だが、考えてみてくれ。この数週間、俺たちの心は離れ離れだった。今、俺の心の中がどういう状況なのか……お前にはわからないだろうな。……だからこそ、大した事のない理由でも、こんなに腹が立つんだ」
「わたしが、一貴だけにしか目が入らないってわかっていても?」
「あぁ、そうだ。お前は? 俺が莉世だけを愛してるとわかっていても、俺を見る他の女がいたら……お前はどう思う?」
「いや!」
莉世は即答した。
「そういう事だ。こんな想いは初めてだよ……」
そう言う一貴の目は、もう無表情ではなく……一瞬の内に欲望が生まれていた。
それを見ただけで、莉世は動悸が激しくなり胸が張り詰めた。
無言のまま、情緒ある道を二人は歩く。
行きは莉世が一貴の腕に手を絡ませていたが、帰りは……一貴が莉世の腰を抱いていた。
浴衣を通して触れられてるのに、躰がどんどん熱くなってくる。
一貴の指がヒップに微かに触れるように動くと、躰の芯にビリッと電流が流れた。とても普通の状態ではいられない。
胸は激しく喘ぐように上下し、神経は一貴だけに集中する。
あぁ……一貴、わたしっ!
部屋に入ると、一貴が思い切り腰を抱きしめ、莉世の躰は一貴の躰にぴったり張りついた。
上を見ると、一貴が見下ろしてる。
ゆっくり顔が近付いてきたが、一貴の唇が触れるか触れないかの位置で止まった。
「……今夜、俺が何をしたいか……わかってるよな?」
唇に息がかかり、胸が熱くなった。
何をしたいか? ……きっとわたしと同じこと、だよね?
わたしは、一貴に愛されたいって思ってる。
「わかってる……わかってるよ」
瞼を閉じながら囁くと、一貴の唇が覆い被さった。
一貴は全く焦ってるようには見えない……わたしの方が早くシテとせがんでる。
一貴の舌が唇をゆっくりなぞる。
その優しい仕草が、欲望の渦へと駆り立てた。
――― 〜♪♪
突然、巾着から音が鳴り響いた。
一貴がゆっくり顔を離した隙に、莉世は上気したまま携帯を取り出した。
「はい」
『あっ、莉世? あたし』
「彰子。どうしたの?」
目の端で、一貴がTシャツ姿になっているのがわかった。
『 う〜ん、あの時センセが来たって言って、どうなったかと思って。もちろん、センセが一緒なら何も心配する事はないってわかってるんだけど、……ほら、行きのバスで妙な事言ってたし……大丈夫なの?』
莉世は微笑んだ。
久しぶりに彼氏と仲直りして、恋人同士に戻れたばっかりだというのに、わたしの心配してくれるなんて。
「……大丈夫。もう解決したから……ありがと」
『本当? それなら良かったよ。っで、センセと一緒に泊まるんだよね?』
「うん」
莉世は頬を染めて……でも嬉しそうな表情をした。
『そっか〜、それなら安心したよ。それじゃ、また明日電話するね』
「わかった。連絡してくれてありがとう」
莉世は、携帯を切った。
振り向くと、一貴が座椅子に凭れて莉世を見つめていた。
「こっちへおいで」
そう言われて、莉世はその場に巾着を置くと、一貴の側へ近寄って座った。
一貴はそれを確かめた上で、電気を消した。
しかし、オレンジ色の間接照明をつけていた為、独特の雰囲気が部屋中に満ちあふれている。
「この数週間……本当に地獄だった。一瞬、本当にお前を失ったのかとさえ思った」
一貴が、莉世の頬を覆った。
「ごめんなさい」
「謝って欲しくて言ってるんじゃない。今回の件で、俺は……どれほどお前を大切にしているのか、改めてわかった。だからこそ、何かあれば俺に言って欲しいんだ、頼って欲しいんだ……一人で勝手に悩まないでくれ」
莉世は、頷いた。
すると、一貴は莉世を膝に乗せた。
莉世は、たまらずクスクスと声を零す。
「何だ?」
「だって……、初めてラブホに入ったあの時も、こうだったな〜って」
一貴はニヤッと笑った。
「確かに、そうだったな。だが、あの時は最後までするつもりはなかった……だが、今は違う」
一貴は、莉世の唇を舌で愛撫した。ゆっくり、欲望の炎がつくように。
だけど、もう既に火はついていた。ここへ戻って来る途中から、既に燻っていた……そしてこの部屋へ入った時から、意識は一貴にしか集中してない。
その優しい愛撫に我慢出来なく、莉世は一貴の首に腕を絡ませた。
それが合図となり、一貴は貪欲に……激しく奪うように唇が動き出した。
舌と舌が絡まり合い、お互いの熱が伝わり合う。
あぁ……わたし、本当にバカだった。一人空回りして、拒絶して……この感覚を忘れていたなんて。
もう、絶対疑わない。何かあれば、ちゃんと一貴に聞くから……だからもう一度わたしを包み込んで。
莉世は、一貴のうなじの髪に触れ、首の筋肉が動くさまを敏感に感じ取った。
「ぁぁ……」
チュッと音をたてながら一貴が身を引くと、莉世の髪に挿してる串を引き抜いた。
途端、うねるように肩から背へと流れ落ちる。
オレンジの光で輝く一貴の目は、まるで炎のように燃え上がっていた。
思わずゴクリと唾を飲み込むと、そこに一貴の視線が落ちた。
手が伸び、浴衣の合わせ部分をなぞる。
思わず莉世の口から呻き声が漏れた。
「今、どれほど綺麗なのか……わかってるか?」
ゾクッと躰が奮える。
一貴に見つめられるだけで、胸が高鳴った。
下腹部の奥まで、じわじわと熱くなり……興奮の証を作り出す。
一貴の手が、合わせを一度きつく引っ張った。
そして、緩んだ合わせから、ゆっくり鎖骨に向かって入り……肩を露にしていく途中で、今度は一貴から呻き声が漏れた。
「莉世……お前、ノーブラだったのか!」
帯で上げられた乳房が、いつもより強調されて大きく突き出している。
「俺の、ためにか?」
その掠れた声と、空気に触れた事から、乳首がキュッと締まりツンと立ち上がる。
「ち、違うよ。浴衣は、下着をつけない方がいいんだよ? ……ぁん!」
突然、一貴が口に含んだのだ。
歯と舌と唇を使うその刺激に、莉世は思わずのけ反った。
「こういう時は、嘘でも俺の為だって言うのがいいんだ」
「うん……一貴の、ため……ぅんっ!」
突然激しく吸ったのだ。
躰が痺れ、莉世は一貴のTシャツに掴んだ。
一貴の手は、足首に伸び……そのまま内腿を伝って這い上がってきた。
パンティに触れると、そのまま一気に下へと引っ張った。
躰の至る場所に触れ、快感を生み出そうとする。
一貴と最後にえっちしてからかなり日が経つからなのか……、今まで感じた事のない快感が躰中を駆け巡る。
……もしかしたら、再び気持ちが通じ合ったからかも知れない。
ふと気付けば、いつの間にか一貴の膝に跨がるように座っていた。
裾が分かれ、秘部は一貴のズボンと擦れていた。
莉世は、膝立ちするように腰を浮かせた。
「どうした?」
「だって、ズボン……汚れてしまうもの」
莉世は顔を伏せた。
それは、もう既に濡れてると言ってるようなものだったからだ。
一貴がそれを確かめるように、手を伸ばす。
微かに触れた途端、下腹部奥がキュッと締めつけられた。
「っんん!」
一貴の肩を、強く掴んだ。
「……本当だ」
あぁ……ダメ、今のわたしは……全てにおいて翻弄されてる!