気持ちが通じるって……何でこんなに嬉しいんだろう。
溢れる出す悦びが、こんなに……こんなに愛おしいなんて。
一貴は、莉世の髪に何度もキスを繰り返し、薄いガウン越しの背中に手を走らせる。
一貴の躰から発散される熱が、莉世を包み込むにつれて、どんどん力が抜けていくのがわかった。
一貴の躰が、微かに震えた。
「莉世……何ていい匂いがするんだろう」
問いかけではなかった。
それは、一貴の呟きだったに違いない。
でも、莉世は躰を起こし一貴の目を覗き込んだ。
一貴の目には、激しい欲望の炎が見え隠れしていた。
そして、その一貴の目に映る自分も……欲望で目が潤んでるのがはっきり見てとれた。
「一貴と同じ匂いだよ? だって、一貴のバスに置いてあった……っぁ」
突然、一貴が莉世の唇を奪った。
莉世は、自然と一貴の胸に手を置くと、そのキスに集中した。
一貴は、とうとう我慢しきれなくなり、莉世の唇を開かせると舌を奥まで入れた。
そして、莉世の首筋からガウンの中に手を滑り込ませると、すぐさま乳房を揉み出した。
「っん……ぁっ!」
躰の全てが、一貴に反応していた。
「莉世、俺の舌に絡ませて」
掠れた一貴の声を耳にし、莉世は言われるまま、一貴の舌に自分の舌をゆっくり絡ませた。
しかし、一貴は莉世の舌を捕らえると、離さないというように攻めた。
「っんん!」
激しく動き回る一貴の舌から、お互いの唾液が混じり合い、莉世は苦しくなった。
莉世の唇の端から、ツゥーッと唾液が滴る。
一貴は荒く息をしながら唇を離し、滴る唾液を舌ですくった。
「ぁぁぁ……」
莉世が薄く目を上げると、一貴の手が伸びるところだった。
莉世のガウンのV字から、両手を滑る込ませると、ゆっくり……ゆっくり愛撫するように、ガウンを下ろした。
ゆっくり動く一貴の手、 肌を愛撫していくシルク……その全てが、莉世を欲望の渦へと押し上げる。
ガウンは、ウエストで止められた紐によって、かろうじて下半身を隠していた。
一貴が……わたしの胸を見ている!
莉世の乳房はどんどん張り詰め、乳首がキュッと突き出てきた。
一貴は、両方の乳房を下から持ちあげると、少し中央に寄せた。
そして、ニヤッと笑った。
その笑いに、莉世はドキッとした。
な、何? 何を考えてるの?
一貴は視線を上げると、驚いている莉世に口を開いた。
「お前にいろいろ教えてやるよ……これから先、長いんだからな」
そう言いながら、一貴は両方の乳首の周辺を愛撫し、そして意思を主張している乳首を、親指で擦り出した。
「ぁっ……っん」
莉世の躰は、快感で揺れ出した。
既に、秘部もしっとり濡れてきている。
莉世は腰を軽く上げると、一貴の襟足に手を回した。
一貴はその行動を読み取ると、莉世の乳房に顔を寄せ、そして乳首を口に含んだ。
「ぁぁっ、かず……きっ!」
どうしよう……すっこい気持ちいい。なぜ? なぜ、一貴だとこうなるの?
……わかってる、わたしのココロが、一貴の全てを求めているからだ。
クチュクチュと淫猥な音が、莉世の耳に入ってくる。
一貴の口が、莉世の乳首を含んでいると思うと、莉世は小刻みに揺れた。
「ゃぁぁっ」
莉世は背を弓なりに反らせ、乳房を突き出した。
それに応えて、一貴は乳首を舌で転がし、歯で咬み、チュッチュッと吸いながら、片方の乳房も手で愛撫を繰り返す。
「はぁ……っくぁ、っん」
自然と、莉世の腰が動き出した。
下腹部の奥が、ヒクヒクと淫らに動いている。
一貴しか癒せない渇きが、莉世の躰を支配しようとしていた。
莉世は、何度も一貴の襟足を愛撫しては、掴むといった具合に、波に流されないようにしていたが、限界が迫ってきてるのもわかっていた。
一貴は、軽い腰の動きを見逃してはいなかった。
口を離すと、唾液で乳房は光っている。
「ぁぁっ…」
莉世は、一貴の口から乳首の間に一本の線が伸び、そしてそれが切れるのを見て、何故か一瞬胸に痛みが走った。
しかし、その思いはすぐ忘れてしまった。一貴が動いたからだ。
一貴は、莉世の顔を見ながら手を大腿へと滑り下ろすと、ゆっくり肌を愛撫しながらガウンの中へ入ってきた。
莉世は、喘ぎを止められない。
一貴はわたしの表情を……ずっと見てる。
一貴に触れられ、感じてるわたしを……ずっと見てる!
躰が興奮で、ブルッと奮えた。
途端、一貴の指が莉世の秘部に触れた。
「あっ!」
ゆっくり上下に擦る。
それでも莉世の表情を見逃さないように見つめていた。
「んふぅっ」
躰に甘い痺れが、突然走った。
一貴は愛撫をやめて、濡れた指を見た。
「莉世……こんなに濡れてる」
「だっ、て」
莉世は顔を赤らめたまま胸をドキドキさせ、情熱で潤んだ瞳で一貴を見た。
「やっぱり、お前感じ過ぎ……」
一貴だからだよ、一貴だから、わたしをこんなにも感じさせるのよ。
口を開こうとすると、一貴が莉世の蜜で濡れた指をゆっくりしゃぶった。
「なっ!」
驚きで、莉世は何を言おうとしたのか忘れてしまった。
「お前、絶対俺以外の男に、そんな表情見せるなよ?」
少し睨むように、一貴は莉世を見つめる。
「表情って?」
「そんなイキそうな表情を、他の男に見せたら絶対許さないからな」
いきなり語気を強める一貴に、わけがわかなくなった。
「何、言って……キャっ!」
一貴は、いきなり莉世をお姫様だっこをすると、寝室へ歩きだした。
一貴の身長は、185cmぐらい?
明らかに、卓人よりタッパがあるのはわかった。
163cmの莉世も、低い方ではない。
なのに、なぜこんなに楽々と、わたしを抱けるんだろう?
一貴が寝室へ入ろうとした時、莉世はギュッと躰を強ばらせた。
その動作を感じた一貴は、足を止めた。
「怖いのか? ……俺に抱かれるのが嫌なのか?」
拗ねたような声にビックリしたが、あの7年前と何も変わらない部屋に、莉世の心臓はバクンバクンと激しく高鳴っている。
「莉世、嫌なのか?」
その声は益々荒々しく、苛立った声だった。
莉世は、視線を一貴のベッドから、一貴の顔へと視線を動かした。
「ココ、わたしが絶対立ち入り禁止の場所だよ? わたし、ココだけは……絶対入っちゃ駄目だって一貴に言われてた。それなのに、わたしはもう入っていいの? ココに、わたしは入っていい存在なの?」
震える声で話すと、一貴は唖然となった。
そして、急にしかめっ面から、笑みが零れた。
「そんな事を思ったのか? はぁ〜、俺はてっきり……」
一貴は、キスで腫れ上がった莉世の唇を軽く啄ばんだ。
キスが終わった時、莉世は一貴のベッドに座らされていた。
一貴は、ブラウス・Tシャツ・ズボンと次々脱いでいった。
しかも、莉世の姿を見つめたまま。
まさしく、男性ストリップを見ているかのようだった。
逞しく鍛えられた肉体、 引き締まった躰、肉体の張り……全てにおいて、一貴は変わっていなかった。
莉世は、自分がどんなに淫らな格好をして座ってるのかというのも忘れ、一貴の肉体に見惚れていた。
生唾をゴクリと飲み込むが、乾いてしまって上手く飲み込めない。
喉がカラカラするのは、緊張しているせいだった。
一貴はボクサーパンツ1枚になると、前屈みになり、莉世のガウンの紐をゆっくり解いた。
何も覆い隠すものがなくなった莉世の裸体を、一貴は目を輝かせ、荒く喘ぎながら、莉世の上から覆い被さった。
「お前は、もうこの部屋に入る権利を得たんだ……わかってるだろう?」
一貴は、莉世の首に指を這わせると、そのまま胸の谷間まで下ろした。
「……っん」
一貴が莉世の鎖骨に顔を埋めると、キスの雨を降らす。
莉世は、一貴の頭を優しく抱き寄せた。
柔らかい髪に指を絡ませると、甘い気持ちが浮かび上がってきた。
何だろう……この気持ち。一貴が愛おしくて、愛おしくて……この腕の中にいつまでも抱いていてあげたいって思ってしまう。
一貴の足が絡まってきた時、莉世は自然と足を開き、一貴の足を招き入れた。
一貴は跪くと、莉世の足を立たせて開かせた。
足のつま先から円を描くように、愛撫を繰り返し、内腿の敏感な所に舌を這わせ、徐々に徐々に上がってくる。
「んふっ、ぁっ、ぁっ………やぁ」
莉世は、喘ぐ声を抑えようと、口を手の甲で覆うが、それでも快感にはかなわず、莉世はイヤイヤと顔を振った。
一貴は、その姿の莉世を見ながら、とうとう莉世の足の付根まで届いた。
「ぁん、や、やだ!」
一貴は、莉世の要求を飲んでくれ、動きを止めた。
そして、ニコッと笑った。
「わかった、今回はやめといてやるよ」
莉世が息を飲むと、一貴の顔がずる賢そうにニヤッと笑った。
一貴?
莉世は、何故か一貴の考えがとんでもない事にように思えて、後ろに下がった……と同時に、一貴の興奮した自身を見てしまった。
いつの間にボクサーパンツを脱いだのだろう?
莉世の目がそれに釘付けになってるのを見て、一貴は近寄った。
「大丈夫だ、莉世」
一貴は莉世の秘部に手を這わせると、中指を挿入した。
「っぁ!」
莉世の躰がビクンと奮えた。
一貴は、揺れた乳房に吸いつくように舌で責め、手は躰中の至るところへ愛撫をし、中指をゆっくり動かし始める。
くちゅくちゅと音が鳴り響き、莉世は一貴の頭を抱えながら、微かに腰を揺らした。
「お前、かなり濡れてるな」
莉世は、頭を振るしか出来なかった。
「やぁ…っん! だめ、かずっ」
快感が躰中を駆け巡り、もう少しで、何かに手が届きそうな時、一貴が早める指の動きに合わせて、感じすぎてぷっくりしている蕾を擦った。
「きゃぁぁぁぁ!」
莉世は、ビクンと背を弓なりにすると、2度痙攣した。
莉世はぐったりすると、荒い息を何度も何度も繰り返した。
一貴は妙に嬉しそうに、莉世の躰の上に体重をかけてきた。
「お前、イクの早過ぎ」
その一貴の言葉に、莉世は火照った顔をさらに染めた。
「はぁ、だぁって、一貴が……っぁ!」
一貴が腰をずらすと、興奮して張り詰めた一貴自身を、一気に莉世に挿入した。
「んんっ! っぁ、やっ…ん」
ゆっくりだが、決して後には引かないと決意を込めた挿入だった。
まだ敏感のままの収縮の激しい莉世の壁が、一貴自身を激しく締めつけ、吸い上げる。
「っく、莉世……」
一貴は、苦しそうに顔を歪め、莉世の顔を見た。
そして最後まで挿入した時、一貴の顔が愕然と変わった。
「莉世……お前、」
莉世は、一貴の背に腕を回して抱きついた。
激しく痙攣する莉世の膣壁が、意思を持たないまま一貴を包み込み、その快感に莉世は朦朧としていた。
「ぁんっ…っ、ぅん!」
一貴もその激しさに我慢が出来ず、腰を揺らし始めた。
溢れ出る蜜と一貴との摩擦が混じり合い、淫猥な音が部屋中に響き渡った。
一貴は莉世の胸を潰し、莉世の耳の窪みの敏感なところに息を吐き、奥まで擦るように激しく腰を動かした。
「ぁぁっ、やっ…だめぇ、……もぅ」
莉世は一貴の肩に爪を食い込ませ、腰を浮かせた。
一貴が角度を変えてある部分を擦った時、莉世はビクンと背を弓なりに反らせた。
「ぁっ! いやぁ」
「ココが、いいのか? くっ、コ、コが?」
一貴は自分の欲望を抑えるかのように、苦しい表情をしたまま、莉世が反応した場所を、激しく攻めたてた。
「はぁぅっ、んふっ、くぅ……ぁん」
莉世は、もう我慢が出来なかった。
だめ……わたし、もう!
激しく腰を動かす一貴の腰へと、莉世は手を滑らせた。
「っく…莉世!」
一貴が、ぐぃっと最後の一突きを奥まで入れた。
「きゃぁぁぁ!」
莉世は、思い切り躰を弓なりにし、足を突っ張った。
ビクンッと何度躰が奮えた事だろう?
莉世は、イッてしまった。
甘美な快感が躰中を駆け巡り、ぐったりとさせた。
一貴はその後を追いかけるように、2・3度激しく挿入した。
「ううっっ、っくぁ!」
一貴も腰を莉世に押しつけ、躰を反らせるとビクッビクッと奮えた。
膣内(なか)に一気に放出すると、ガクッと莉世の胸に倒れた。
二人は激しく喘ぎながら、共に動こうとしなかった。
しばらくすると、莉世は一貴の汗で湿った髪を撫でながら、愛おしさが今まで以上に脹れ上がっていくのを感じていた。
わたし……一貴より好きな人って絶対出来ない。
自覚が嬉し涙となって、莉世の目尻から流れた。
一貴が、やっと莉世の上から横に転がると、長い満足の息を漏らした。
そして、莉世の躰を横から抱きしめた。
「何故泣く?」
まだ情熱の残った一貴の掠れた声が、莉世の胸を熱くさせた。
「嬉し涙、かな? 一貴を、ずっと……諦めなきゃいけないって思ってたから。……まさか、こうして想いが通じて愛し合えるなんて、全然思ってなかった、から」
「だからか? だから、お前……」
一貴はそこで口を噤んだ。
しかし、莉世は躰が怠くなって、眠たくなってきてた為聞き逃した。
「……えっ?」
「いや、何でもない」
一貴は、莉世の腰を抱きしめ、密着させるように引っ張った。
莉世は温もりを求めて、一貴の肩に顔寄せた。
一貴は、莉世を離さないよう抱きしめ、莉世が眠りにつくのを見守った。
しかし、一貴の表情は暗く、苦悩に歪んでいた……