膣奥が痛みでジンジンと痺れ、ちょっと動くだけで皮膚が引き攣れるような痛みが走る。
そんな状態にもかかわらず、叶都自身がドクッと脈打って大きくなったように感じた。
「それだけは心配しないでくれ。俺は……乃愛を初めて見た時からずっとお前だけを……」
叶都は身を少しだけ起こすと、乃愛の陶磁器のような滑らかな頬を撫でた。
「叶都……」
今度は、嬉し涙が目尻から伝い落ちていく。
痛みを受け止められるぐらい、叶都を愛するようになるなんて思ってもみなかった。でも、それが本当の気持ち。
初めてを捧げてもいいって思えたのが、叶都だった……
乃愛のことを思ってしばらく動かずにいてくれたが、叶都はゆっくりと律動を始めた。
「あっ……」
変な違和感に、乃愛は顔を歪める。
時間を置いたことで最初に感じた痛みはどこかへ去り、摩る感触が乃愛の躯に異変を起こした。
叶都が乃愛の膣奥まで突き上げるたびに、甘い電流がお尻から背筋に走り、そのまま脳天へと駆け抜ける。
「やぁ……っんん、あん、……っく」
最初に触れられた時のように、乃愛の躯は蕩けていきそうだった。乃愛の反応が変化したと気付いたのか、今まで抑えていた叶都の動きがだんだん激しくなる。
叶都の抽送のリズムに合わせて、乃愛の乳房も上下に揺れる。その乳房に叶都が手を伸ばし、愛撫でぷっくりと膨らんだ乳首を指の腹で摩った。
「っぁんん! だ、ダメッ……かな、と……。っく、はぁ……っんん!」
律動に合わせて腰を捻っているのか、叶都自身が膣壁を摩ってさらに乃愛を押し上げる。
乃愛の秘部からは愛液がとめどなく滴り落ち、シーツを汚すほどだった。
そこに激しい叶都の抽送が加わり、空気が混じった淫猥な音が部屋に響き渡っていく。
もう……ダメ! こんなにも感じてしまったら、躯がどうにかなってしまう!
「かな、と……。お願いっ、んんん!」
「もう、イキそうなのか?」
泣きそうな顔をしている乃愛を見て、叶都が口元を綻ばせた。
「記憶に残るような……最高の快楽を乃愛に与えてやる」
叶都は乃愛の汗ばんだ肌を撫でながら、二人が繋がった部分に向かって手を滑らせていく。
乃愛の湿った茂みを掻き分け、ぷっくりと熟れた蕾を探し当てると、そこを指の腹で強く摩った。
「ダメッん! ……あっ、あっ……んんん! っく……きゃああぁぁ!!」
乃愛は、凄い勢いで押し上げられた。
叶都を跳ねつけるように躯を反らし、全身を貫く快楽の波に身を投げ出す。乃愛の四肢は硬直し、瞼の裏では爆発した光がまばゆく光っていた。
初めて体験したその悦びに圧倒された後、乃愛は誘われるまま陶酔の波間に漂い始めた。
同時に、躯がゆっくりと弛緩していく。
その時、叶都が呻き声を上げて乃愛の躯の上に脱力した。
叶都が荒い息を繰り返すたびに、乃愛の肌がさらに湿り気を帯びていく。なのに、そのことにも気付かず、乃愛は押し寄せる快感の余波に躯を震わせていた。
それからどれぐらい時間が経ったのだろう。叶都が額にキスをしてきたことに気付くと、乃愛はゆっくり目を開いた。
「大丈夫か?」
乃愛は、口元を綻ばせながら静かに頷く。叶都は既に乃愛から躯を離していたのに、まだ膣内に彼のモノが埋まっているような感覚が残っていた。
叶都から激しく愛されたのは事実なんだと実感できた途端、乃愛は幸せな気持ちに包まれた。
「大丈夫よ。……叶都」
手を伸ばして、叶都を抱きしめる。
「わたし、叶都のものになったのね? 叶都のカノジョになったのね?」
「……ああ、そうだ。乃愛は俺のものだ。乃愛に触れていいのは俺だけだ」
愛する人から愛されるのが、これほど幸せなことだとは思ってもいなかった。
乃愛は来年高校を卒業し、叶都は高校生になる。ふたりとも新しい出会いがあると思うが、お互いを信じていきたいと強く願った。
乃愛は、しばらく叶都の裸に縋り付いていた。
もう少しそのままでいたかったけど、叶都の枕元にある目覚まし時計を見て、一瞬にして夢から覚めた。
ハッと息を呑み、肘を突いて身を起こす。
「あっ!」
膣奥に引き攣る痛み起こり、乃愛は顔を顰めて唸った。
「大丈夫か!? ……痛みが?」
唇を引き結び、何度も頷く。
「何か、変な感じ……。わたしの膣内には、何も入ってないのに……まだそこに叶都が入ってるみたいだし、その奥はジンジンと痛い」
「悪かったよ。初めては痛いもので、じわじわ押し進めるよりも一気に突っ切った方がいいって聞いてたから」
そのことを誰から聞いたのか問い質しかったものの、乃愛はグッと堪えてゆっくり身を起こした。
「ねえ、わたしが来てからもうすぐ3時間になる……。そろそろ帰る準備をしないと、おばさまが心配して上がってくるかも」
叶都の母を思い出して、階下で起こった出来事がどうなったか急に気になってきた。
乃愛のように、気持ちよく抱かれたのかと。
バカバカ! 何考えてるのよ!
自分に叱咤していたら、叶都が乃愛の背中をゆっくり撫で下ろした。躯が勝手にビクッと震える。指でそっと触れられただけなのに、まさかこんなにも感じるとは思ってもいなかった。
女になった――と改めて自覚すると、妙にくすぐったい気持ちが湧き起こってくる。
「……離れたくないな。このままずっと、乃愛と一緒にいたい」
叶都が急に甘えるような言葉を言ってきた。
それを聞いて、乃愛は突如お姉さん面がしたくなった。セックスでは全て叶都が主導権を握り、乃愛をめちゃくちゃに感じさせたから。
「ダメよ」
羽布団で胸を隠しながら、ゆっくり振り返る。余裕綽々のつもりだったのに、乃愛は、慌てて顔を戻した。
小さな子供が駄々を捏ねる姿を想像していたのに、それは全くの誤解だった。
叶都は、もう一度乃愛を誘惑しようと色っぽい瞳を乃愛に向けている。しかも、乃愛の唇、乳首、秘めやかな泉を貪った彼の唇は魅惑的な弧を描き、舌を出してゆっくり舐めていた。
忘れてた! 叶都は……マセてるってことを。乃愛が調子に乗ったら、大変な仕打ちが待ってるかもしれない。とても、えっちなことが……
それは困る、今は……
「本当に、もうダメ……」
乃愛は、叶都の手で脱ぎ散らかされた制服を見た。少し動くだけでズキッと痛みが襲いかかるのを堪えながら、ベッドの端まで進む。
「うわっ! すっげぇー血。乃愛、本当に大丈夫か?」
血という言葉に、一瞬で躯が凍りつく。破瓜の血がどれほどのものかわからないが、確認したい気持ちは強くあった。
乃愛は恐る恐る振り返り、シーツに視線を落とした。
小さな水風船を地面に落とした時にできる、濡れた水跡と似ていた。四方八方に飛び散ってる血が目に飛び込む。既に乾いて赤茶色くなってはいるものの、手を切ったという言い訳は通用しない量だった。
「あ、洗わなきゃ……」
叶都に視線を向けようとした時、彼の逸物が茂みからそそり勃っているのが見えた。普通ならその状態に戸惑うが、叶都にも血がついていたので、思わずまじまじと見つめてしまった。
コンドームをつけていたので彼自身に乃愛の血はついていないものの、茂みや股間周辺の皮膚に血がこびりついている。
そっと手を布団の中に忍ばせ、乃愛は恐る恐る手で秘部に触れた。ゆっくり手を引き抜いて見ると、安心したことに手に血はついていない。
つまり、既に出血は止まっているということになる。
ホッと一息つくものの、叶都の躯に血がついているということは、乃愛の大腿も血がこびりついてるかも知れない。
これでは、公共のバスや電車に乗れない。
「……シャワー、浴びてく?」
いつの間にか泣きそうになっていた乃愛に、叶都が助け船を出してくれた。
「うん……」
乃愛は、潤む目を向けて叶都に頷いていた。