『初桜に愛舞い降りて〜宿世の契り〜』【31】

 泰成の愛撫に、千珠の腰が勝手に揺れ始める。
「千珠、そなたの温もりに包まれたい。私のためにこんなにも濡れているここへ……身を沈めたい」
「ああ、きて……お願い! 早くっ……ぁっ」
 膣内を弄る指を抜かれてしまい、千珠は不満の声を漏らしてしまう。
 でも、そんな気持ちはすぐに吹っ飛んだ。
 泰成の置いた灯台の明かりが、直衣を急いで脱ぐ彼の姿を映し出す。
 薄明かりでもわかる、小袖を押し上げる男性自身の昂ぶり。
 それを見ているだけで生唾が込み上げ、これ以上は気を失ってしまうかもしれないと思うほど、心臓が早鐘を打ち始める。
 呼吸が浅くなる。かすかに唇を開いてリズムを整えようとするが、気にすればするほど口から心臓が飛び出してしまいそうだった。
 確かに、泰成の興奮をこの目で見るのは初めてだ。
 ただ、それよりも目を奪われたのは、直衣を脱ぐ彼の姿。千珠を抱く時の泰成は、いつも小袖に袿(うちき)を羽織っただけの簡略な姿だったからだ。
 
 なんて男らしく見えるのだろう。
 
 きちんと身なりを整えた男性が衣服を脱ぐだけで、胸がときめく。
 小袖姿の泰成をうっとりと見ていたら、彼が振り返って千珠に目を向けた。
 たまらず両腕を広げて手を泰成に差し伸べると、大股で近寄った彼が千珠を腕の中に引き寄せる。
 千珠は泰成の背に腕を回し、隙間ができないほどぴったり躯を押し付けた。
「愛して……。わたしが悲鳴を上げるまで、めちゃくちゃにして!」
「ああ、千珠!」
 感極まったみたいな泰成のかすれ声と吐息が肌をかすめる。
「泰成さまも、脱いで……」
 自分から泰成の小袖の紐を引っ張り、それを脱がせた。
 硬く太く、意志を持つようにそそり勃った彼自身が、千珠の下腹部を突く。
「千珠……、私はもう耐えられそうもない。いいか?」
 千珠は泰成の額に自分の額をあて、目を閉じた。
「わたしを泰成さまだけのものに……」
「もちろんそのつもりだ!」
 泰成の手が千珠の顎を撫でる。そのまま上を向くように力が込められた。
「千珠……」
 甘い声で囁く泰成の吐息が唇をかすめ、そして柔らかな感触がそこに触れた。
「……っんんぁ、はぁぅ」
 千珠の唇を貪る泰成の口づけに、何度も喘ぎ声を零す。
 さらに全身に感じる泰成の力強さ、火傷してしまいそうな熱にくらくらしてきた。
 そこに千珠の大腿を割って入った彼の膝に、微妙な振動を送り込まれる。
「っんくぅ!」
 秘所を刺激された千珠は呻き声を漏らし、泰成のキスを逃れた。
 それでも泰成の愛撫は止まらない。秘所には小刻みな刺激が送られるばかりか、彼の唇が感じやすい首筋や耳殻の裏の窪みに舌を這わせてくる。
「ダメ……。そんなに弄ったら……ぁっ、すぐに、イっちゃう」
 快感で声を震わせつつも、千珠の躯がどういう状態にまで高められているのかを伝えた。
「千珠の温もりを私の熱くなる部分に感じたい。早く、ひとつに重なり合いたい」
 泰成の手が千珠の大腿を撫で上げ、さらに大きく広げるよう促す。
 愛撫を受けやすい体勢になると、再び泰成の指が秘所を弄り始める。そして彼の指は膣内へ滑り込んだ。
「あ……っ、んぅ……ああっ!」
 首筋や鎖骨を舐めていた泰成の舌が、徐々に下がっていく。
 彼の愛撫を求めてやまない硬く尖った乳首に、熱く濡れた柔らかい舌が触れた。
 ビクッと躯が跳ねるが、泰成は気にもせず口腔にふくみ、舌を巧みに動かし始める。
 ちゅぷちゅぷと音を立てて吸い、舌を硬くして突いたり、包み込むように舐め上げたりする。
 千珠が嬌声を零せば零すほど、泰成の愛撫は濃厚になっていった。
 躯を駆け抜ける甘い疼き、痺れるような快感。
 長く続けば続くほど、甘い狂熱の塊がどんどん膨れ上がっていく。
 千珠の蜜口からとろとろとあふれ出てくる愛液が、どこまで昂ぶっているのか物語っていた。
 でも、どうしてだろう。ひとつになって、一緒に絶頂を味わおうとしているのに、喉の奥に妙な痛みが込み上げてくる。
 ほろ苦い切望まで込み上げ、千珠は必死にそれを心の奥へ落とそうと必死に押し戻す。
 
 何も考えなくていい。今は泰成だけを求めればいい……!
 
「やす、なり……さまっ!」
 あなたと一緒に人生を歩みたい――そんな思いを込めて名を叫んだ。
 膣内に埋め込まれるたびに泰成の指のスピードが速まり、空気と混じり合ったぐちゅぐちゅと淫靡な音を立てられる。
「あっ……はぁ、っんぁ……」
 いつも以上に襲われる強い快感に、千珠の顔はくしゃくしゃに歪む。
「お願い、もう……きて!」
 これ以上は堪えられない。
 千珠が甘い声でお願いすると、泰成の躯がブルッと震えた。
「ああ、千珠と……一緒に!」
 泰成の手が千珠の大腿を掴み、さらに大きく開くよう促される。そして足を抱え上げられた時、泰成の大きく屹立した自身が千珠の蜜口に触れた。
「……っんぁ」
 熱くて硬い彼を感じて、我知らず声が漏れる。
「千珠は私だけのものだ」
 かすれ声で言うなり、泰成は腰を突き出して千珠の濡れそぼった膣内に昂ぶった自身を突き刺す。
 痙攣を起こす膣壁を押し広げ、どんどん奥へ埋められていく。
「ああっ、……っんぁ……っ!」
 泰成のものが、奥まですっぽり包まれた。
 一瞬、泰成は苦痛に似た声を漏らす。でも、すぐに律動を始めた。
 苦しい体勢にもかかわらず、泰成はリズミカルに腰を突き上げて、千珠が快楽に身を焼かれるその全てに手を貸す。
「ああ、こんな風に、なる……なんて」
 千珠は押し殺した声で呟きながら、彼の腰に足を絡めた。
 もっと深くまで貫ける体勢が、彼を刺激したのだろう。
 泰成は千珠の横に両手を置いて体重を置くと、さらに激しく抽送を始めた。

2016/05/16
  

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