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『続 ・Ring of the truth 〜真実の想い〜』【9】

 じっとり湿り気を帯びたまま、二人は抱き合っていた。
 
「こうして、お前を取り戻せた事……俺がどんなに感謝しているか」
 寛の手がうなじに伸びる。
 その時、ふと髪が短かい事を思い出した。
「あたしの髪が短くて……嫌じゃない?」
 軽く身を起こして、表情を曇らせながら寛を見た。
「嫌? 俺は髪型でお前に惚れたんじゃないぞ? それにその髪型、似合ってる」
 その言葉を聞いて、本当に安堵した。
 
「彰子?」
「何?」
 寛の手に力が入った。
「手紙の事だが……早弥香が盗ったんだと思う」
 彰子は息を潜めて、次の言葉を待った。
「何故か、月始めになるとよくこのアパート前で会うようになったんだ。俺はもちろん部屋には入れてないぞ? いくらあいつが入りたいと言ってもだ。俺はお前に見られた……あのキスでもう懲りたから。俺が思うに……早弥香は俺を手に入れたかったのかもしれない」
 その気持ちは十分にわかる。
 あたしだって、寛を手に入れたかった……それもずっと前から。
 同じ女として、好きな人に振り向いて欲しいっていう気持ち、痛いほど手に取るようにわかる。
 でも郵便物を盗むなんて、それは行き過ぎた行為だ。
 それは許される事じゃない。
 だけど……。
「確かにあの箱を受け取った時、あたしの心は……ずたずたになった。でも、今こうして寛の腕の中にいられるのは、箱を送ってくれたからだってわかってる。だから、あたしは少なからず感謝してるよ……二宮さんに」
 寛が思い切り彰子を抱きしめた。
「あぁ、本当によく来てくれたよ」
「莉世が……一緒に来てくれた友達が、行くべきだって言ってくれたの。もし彼女がいなかったら、あたしはまだ東京にいた」
「いい友達を持ったな」
 うん、本当にいい友達を持ったよ。あたしに、一歩踏み出す勇気を与えてくれたんだから。ありがとう……莉世。
 
「捨てなかったんだな、コレ」
 寛の手が、リングに触れた。
「捨てれるわけないよ」
「俺の気持ちを捨てないでくれて、本当に嬉しいよ」
 寛が上から覆い被さると、彰子の柔らかな唇を吸った。
 寛の興奮したモノが、下腹部を突く。
 それが何を意味するのか……、思わず彰子は頬を染めた。
「寛……ダメ、あたしもう1回は無理。ヒリヒリして」
「わかってるよ」
「本当に?」
「あぁ」
 とか言いながら、どんどん大きくなって、あたしを突くのは何故?
 だけど、寛があたしに欲情してるんだってわかると、嬉しくて仕方なかった。
 
「ねぇ、怒らないから聞いていい?」
「何?」
「あたしはえっち2回目だったけど、寛は? もちろんあたしと前回した……浦安からこっちの話だけど」
 彰子は、わかるように身振りで示した。
 浦安から現在に至るまで、寛がえっちしたのは……あたし以外誰だったのか。
 寛が、ゆっくり身を起こした。
「本当に聞きたい?」
 そう聞かれて、一瞬口を閉じた。
 どうだろう? 知らない方がいいのかも知れない。だけど、今シタばかりなのに、もうこんなにも硬くなってる……精力が強いんだってはっきりわかった。だから、一人だったって事はあり得ないよ。
 彰子は、寛の硬く勃起したモノを思った。
「……ずっとしてなかった」
 えっ?
 急に言われて、彰子は寛の目を凝視した。
「彰子を抱いた後、誰も抱いてない」
 ……って、待って。じゃぁ、この2年間寛は誰とも? そんなの信じられない!  だって、男の人って精子を定期的に出さないと、危険なんでしょう? ……定期的に出す? ……寛、どうやって抜いてたんだろう?
 その問いが顔に表れたのか、寛は苦笑いした。
「俺は、自分で抜いてたよ。他の女を彰子の身代わりに抱ける筈ないだろ? 俺は、お前を想って抜いたよ」
 うわぁ〜、いったい何言い出すのよ!
「そんな事は言わなくていいよ!」
「隠し事はなしにしようと、決めただろ?」
 ニヤッと笑う寛に、何故か背筋がゾクゾクした……危険な感じ。
「お前は? 俺に抱かれてると思いながら、自分で……シタ?」
 予感的中! な、な、何言い出すのよぉ〜、するわけないじゃん! 
「もう、知らない!」
 彰子は、顔を真っ赤にして躰を起こした。
 だけど、不思議な感じがした。
 胸に秘めた事を全部さらけ出すと、こんなに態度って変わるものなんだろうか? 寛の態度も、何かふっきれたような気がする……あたしに言えなかった事を言う事で、脱皮したって言うか、……うん、弾けてるって言っていいぐらいだ。
 ……嘘で塗り固めなくていい、本当の自分を相手にさらけ出すのが、こんなに気持ちいいなんて。
「彰子、まだ俺の横にいてくれ……。まだ、この幸せな気持ちを感じていたいんだ」
 何よ……そんな事今まで言った事ないくせに。
 だけど、……あぁ、やっぱり弱いよ。
 彰子が、再び横になろうとした時、
 
 
―――ピンポーン。
 
 突然チャイムが鳴り響いた。
 彰子は、寛を見下ろした。
「……ったく、誰だよ」
 寛は起き上がると、漲らせたまま短パンだけ履いた。
 見ると、前は生地を押して、その場所がどういう状態なのかわかる。
 寛の躰が、張り詰める程に漲らせてるとわかっていながらも、あそこがヒリヒリしていて……させてあげれない自分の不甲斐なさに、胸がズキッと痛くなった。
 いつの間にか、寛の張り詰めた部分を凝視していたのに気付くと、彰子は顔を赤らめた。
 そして、すぐに服を着ようとした。
 なぜなら、玄関から一直線上にベットがあるからだ。
「いい、すぐ戻るから、そのままで待ってて」
 素早くキスをすると、寛は玄関に向かった。
 
「どちらさま?」
「あっ、寛、わたし」
 その声で、寛の裸の背中の筋肉が引きつったのがわかった。
 そして、彰子も裸を隠すように掛け布団を巻きつける。
 
 あの可愛い声は……二宮早弥香、だ。

2003/07/07
  

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