第二章『華の蜜に誘われて』【12】

 早く触って――と願いを込めて、上目遣いに叶都を見つめる。
 叶都にその気持ちが通じたかわからないが、そっとブラジャーの上から乳房に触れてきた。
「俺の手からはみ出るぐらいに大きい。それは、先週バスの中でもうわかってたけど」
 乃愛にもわかるように、いやらしい手つきで揉みしだく。
 哲誠にそうされた時はもういいでしょ!≠ニ言って、彼の手を振り払ったことがある。相手が叶都に代わっただけで、こうも気持ちが変わるものだとは思いもしなかった。
 それよりももっと触って≠ニ懇願しそうになることに、乃愛は驚いていた。
 叶都が顔を近づけて、乃愛の頬に優しくキスをする。
 何度も、何度も……
「っんん、……か、叶都っ!」
 チュッチュッと音をたてながら、目尻、こめかみ、耳朶、そして唇にキスを落としていく。
「はぁぅ……」
 乃愛の口から、自然と甘い声が漏れる。こそばゆさと同時に、ビリビリする甘い電流が躯の中を駆け巡っていく。
 どう対処すればいいのかわからずに、ただ送り込まれてくる熱に翻弄されていた。
 だが、叶都は途中でキスを止めた。乃愛の唇に息を吹きかけるようにしながら、そっと囁く。
「可愛いなぁ〜、乃愛は」
「……っ!」
 恥ずかしさから、一気に躯が熱くなる。
「そんなこと言わないで……っあ!」
 叶都に肩を押され、再びベッドに仰向けになった。彼が、軽く体重をかけてくる。
 その時、乃愛の大腿に硬いものが当たった。財布か携帯かと思ったが、グイッと軽く押しつけられてハッとなる。
 あの日、バスで叶都に抱きしめられた時に当たったものと同じ!?
 一瞬にして、叶都が興奮していたことを思い出した。硬く、大きく膨らんだ叶都の逸物を。
 あれが乃愛の膣内に入ってくるかと思うと、一瞬身震いを感じた。
 でも、相手は愛する男性のもの。
 痛いかもしれないけど、耐えられる!
 覚悟を決めた時、ブラジャーの上から乳房に触れていた叶都が、ゆっくりカップの縁を摺らし始めた。
 覆っていた生地から解放されるようにポロンッと乳房が零れ、熟れた乳首が露になった。
 叶都の指が、その乳首を摩り始める。
 たったそれだけで、下腹部の奥深い場所を中心にして甘い電流が四方八方に駆け巡る。
 意思に反して、躯が勝手に震える。それを抑えようと、乃愛は頬をシーツに押しつけるように顔を背けた。
「あっ……やぁ、だ、め……ぁっんん!」
 でも、口から漏れる喘ぎを止めることはできなかった。
「嘘ばっかり。ここ、すっげ〜硬くなってる。俺のと同じ」
 叶都が、意味ありげに腰を上下に動かす。硬くなった彼自身が、乃愛の大腿を摩った。生地越しなのに、とても硬くなっているのがわかる。
 あからさまな男性の反応を感じると、乃愛は恥じらいから頬を染めた。
「そんな風に言わないでよ」
 ブラジャーから零れ落ちてる乳房を、両手で隠そうとした。
 だが、そうする前に、その手を叶都に掴まれてしまった。
「俺に全部見せて。乃愛の全てを……俺だけに」
 まだ叶都のものにはなっていないのに、既に独占欲を表している。それがとっても嬉しかった。
 乃愛が力を抜いたと伝わったのだろう。
 叶都は彼女の手を離すと、すぐ背に手を回して、簡単にブラジャーのホックを外した。締め付け感がなくなったことで、妙に無防備さを覚えた。
 叶都が露になった乃愛の乳房を見ているとわかっていても、乃愛は動かなかった。目を輝かせて乳房に見入る彼を見ているだけで、躯の芯が疼いてくる。
 下腹部の奥は熱くなり、秘部はしっとりと濡れているのがわかるほどだった。
 さらに勝手に蠢き始め、静かに横たわってはいられなくなってきた。心臓が早鐘を打ち、呼吸すらままならない。
 勝手に口から漏れる荒い息遣いに戸惑った乃愛は、手を上げると甲で口元を覆った。
 身を捩るその姿が、叶都の欲望をさらに煽っているとは知らず、乃愛は自分の躯に起こっている異変に狼狽えていた。
「とっても綺麗だ」
 初めて会った時のように、乃愛の髪を一房掴み、そこに優しくキスをする。
「黒々として艶やかな女性らしい長い髪……。絶対髪を切らないでくれ。俺のために」
 その髪を指で解かすようにしながら、それをゆっくり枕に広げた。
 
 ベッドの上で身じろぎする乃愛を見ながら、叶都はシャツを脱ぎ捨てた。
 腹筋が割れているのが、微かに見て取れる。
 ズボンのボタンも外すと、簡単にそれは滑り落ちた。ボクサーパンツの股間部分はパンパンに脹れ上がっている。
 そこを見ていると、叶都の叔父のそそり勃つ逸物が、乃愛の脳裏に浮かんだ。
 叶都のもそれぐらい大きいのかと思うと、勝手に躯が震えてくる。
 恐怖に脅えそうになったその時、叶都が乃愛の両ひざに手を乗せて足を開くよう促してきた。
「か、叶都! わたし……」
 乃愛の声が震える。
「大丈夫。俺を信じて」
 乃愛の大腿を足で挟むようにしながら、叶都が身を倒す。
「初めての時は誰だって緊張するもんさ。絶対に乃愛を苦しめるようなことはしない」
 手を伸ばして乳房を揉みしだきながら、もう片方の乳房に顔を埋める。叶都は、そのまま硬くなった乃愛の乳首を口に含んだ。
「叶都っ!」
 濡れた舌で、乳首を舐め始める。舌を硬くして突いたかと思えば、柔らかくして乳首を包み込むようにして吸う。
 手で弄るもう一方の乳首は指で挟み、キュッと摘まんでは指の腹でこねくり回したり、乳房を指で掴んで大きく揺すったりした。
「……っぁ、っん、はぁ……やぁ!」
 全身に甘い電流が走り、勝手に躯が震える。突然湧き起こった躯の反応に、乃愛は恐れをなした。にもかかわらず、途中で止めて欲しくないという気持ちもどこかにある。
 癖になりそうな悦びだった。
 下肢は勝手に戦慄き、秘部からは愛液が滴り落ちていく。
 恥ずかしい! ど、どうしよう!
 乃愛だけが、こんな状態になっていると叶都に知られてしまう。
 焦った乃愛だったが、叶都は特に気付く様子もなかった。彼は執拗に、彼女の乳房に夢中になって愛撫を続けている。
「俺の匂いがする……。もっともっと……乃愛を俺だけの匂いに染めていきたい」
 先程と同じように乳首を攻めながら、もう一方の乳房も揉みしだく。
「っん……はぁ、っく!」
 声を抑えようにも無理だった。口を覆っていた手を下ろして、ベッドのシーツをギュッと握り締める。
 心地好い甘い痺れで躯が震えないように努力をするものの、初めての悦びに躯が勝手に反応するのを止められない。
 叶都の手が、揉みしだいていた乳房からゆっくり下がっていく。肋骨に触れたかと思えば、平らな腹部に触れた。そこで一度手が離れると、大腿を撫で上げてスカートを捲っていく。
 叶都の愛撫に身を捩っていたために、簡単にスカートの裾は捲れ上がり、いとも簡単に、叶都の手がパンティに触れた。
「やぁ……っふぁ」
 感じてるって、叶都に気付かれてしまう!
 叶都の指が、襞に沿うようにゆっくり上下に撫でる。布に引っかかることなく、スムーズに動く。
 つまり、滑らかに動くように愛液がパンティに染み出して、叶都の動きを助けているということになる。
 それぐらい濡れていたら、叶都も乃愛の状態がわかっているはずなのに、全く何も言わない。
 言わないどころか、さらにパンティ越しに濡れた秘部を刺激するように、優しくスライドをし始めた。

2011/04/20
  

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